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戦略経営者コラム 2025年4月

HPは24時間働く営業社員!ユニーク町工場の戦略

1987年創業の平野製作所は、大阪府柏原市に拠点を構える町工場だ。父の代から続く同社を率いるのは、薬剤師という異色の経歴を持つ平野暁彦氏。社長就任後は、残業をゼロにする働き方改革や新社屋の建設など次々と新たな取り組みをスタート。果敢に挑戦を続けている。

そんな平野氏が運営するHPは「社長と話しているようだ」と評価が高い。営業活動や新規採用に、HPをどう活用しているのか話を聞いた。

「みんなで」を大切に

──事業内容は?
平野 先代(父)が1987年に開いた町工場が始まりです。当時は金属や樹脂部品を作るフライス加工を主軸とする金属部品加工専門業者でした。現在は外注の形で旋盤加工や溶接など、幅広い工業用機械部品の製造も行っています。また、M&Aによる事業拡大で、大型部品の加工なども手がけられるようになりました。

──幅広い業容ですね。
平野 当社のような小さな町工場は、できる加工が限られるし、短納期案件には人員体制上、対応できないというジレンマを抱えています。こうした弱みを強みに変えるためには、会社を超えた協力関係を築くことが一つの答えだと思っています。自社でできないものは仲間の町工場と手を組むことで対応し、みんなで儲もうけられる形を模索。利益をシェアするスタイルが私たちの生き残り戦略です。

 それと、私が常に念頭に置いているのは「規模を拡大させすぎない」ことです。ものづくりの品質を維持するためにも、規模拡大に伴うガバナンスの困難化といったリスクを避けること。社員は20名以上には増やさず、協力工場も10社以上にはしない方針を貫いています。中国のメーカーとも取引していますが、5社に限定して取引し、1社1社と親密な関係を築くようにしています。

 現在、グループ全体の年商は5億円。頑張れば年商7億円や上場も可能でしょうが、そこを目指すよりも周囲の人たちが幸せになれる規模感を大切にしています。

アナログからデジタルへ

──HPの導入時期や背景は?
平野 私が入社した十数年前は、マシニングセンタはあるのにプログラムは手打ち作業など、会社全体がアナログでした。時代が大きく変わるなか、アナログのままでは生き残れないということで、当時社長だった父に強く訴えたことの一つがHPの必要性だったのです。

 ですが、父にはなかなか理解されず、意見が食い違うなか、税務顧問の税理士法人パートナーズ関西大阪平野事務所さんから「アイ・モバイル社ならコストもそれほどかからずに始められるから使ってみては」と助け舟をいただき、無事に開設できたという経緯です。

──HP運用での留意点は?

平野 新規顧客開拓や問い合わせを増やすためには、HPを見つけてもらえなければ意味がありません。自分なりに試行錯誤するなかで、SEO対策やコピーライティングの重要性も感じるようになりました。より多くの人に訪問してもらえるページにするために、全体にキーワードを散りばめたり、どんなキーワードが良いのかを研究したりして、コツコツとページ数や内容を増やしていきました。

 また、訪れてくれた人が気軽に問い合わせできるようにトーンや文章の作り方も意識。「ダメ元で聞いてみようか」と思っていただけるよう、対応品目や納期・ロット数などもあえてハードルを低く設定しています。

──使い勝手は?

平野 当初は更新作業をアイ・モバイルさんに依頼していましたが、今では自分たちで更新しているのでとても使いやすくなりました。更新のための作業は1カ月に数時間程度です。

──ブログの活用も?

平野 『町工場で働く薬剤師ブログ』は、最大で月10万PVを誇ったこともありました。今は更新頻度もそこまで多くないので月2万弱のPVですが、見込み客がブログをきっかけに当社にたどり着く動線になっています。

 今後は、会社のHPは内容をコンパクトに見やすく整理し、詳しい内容やコンテンツはブログを活用する予定です。実際にお問い合わせくださる企業さまの約半分がブログを閲覧されています。

個人客ニーズを大口受注につなげる

── HPの効果は?
平野 現在月間のPV数が2000にのぼり、同業他社と比べて2倍程度の水準で推移。上場企業から個人まで幅広いお問い合わせをいただいています。HPをきっかけにした依頼も増えていて、問い合わせハードルを低くした戦略が功を奏しています。また、採用でもHP経由で2名を獲得できました。

──問い合わせの内容は?
平野 仕事のご依頼やご相談は、全体の6~7割が個人客です。「自転車のパーツを作ってほしい」「天体望遠鏡の部品をアルミフレームで作りたい」などのご相談をいただいたこともあります。ほかにも神社の神事に使われる刀やペット用品など幅広いご依頼をいただいています。個人客でもお見積もり金額が100万円を超えるような案件もあります。

 個人のお客さまの場合、設計図面や仕様が明確でない点や、予算が低いことから敬遠されがちですが、金額以上のメリットがあると感じています。「こんなものがあったら良いのに」という消費者の声だからです。そうした声を法人のお客さまに伝えることで、新たな製品開発につながることもあります。小さなヒントが、大きな利益につながっているというわけです。

──今後のHP活用法は?

平野 HPは、社員を多く抱えられないわれわれのような町工場の営業スタッフの役割を担うものだと捉えて運用してきましたが、今後は新たなスタッフを採用して運用も任せていく予定です。アイ・モバイル社のシステムは更新作業を自力で、かつ簡単にできるので、HPまわりの業務のバトンタッチもスムーズにできると期待しています。

 また、最近はメディアにお声がけいただくことも増えてきたので、メディア出演時のラジオ音源などもHPに掲載し、より会社としてのブランド力を高めていきたいと思っています。

有限会社平野製作所
住所
〒582-0015 大阪府柏原市大字高井田1288-5

URL:https://www.hirano-s.jp/

(インタビュー・構成/アイ・モバイル 株式会社

株式会社TKC発行のビジネス情報誌「戦略経営者」に掲載された連載記事を掲載しております。

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この度は取材にご協力いただきまして、ありがとうございました。

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